脊椎内視鏡手術(Full Endoscopic Spine Surgery: FESS)

はじめに

20年前の写真

約200個ある人体の骨の中でも、背骨はとても特徴的な骨です。
背骨は、頭から首、背中、腰、骨盤をつなぎ合わせ、身体の大黒柱として機能すると同時に、骨と骨の間に椎間板という軟骨組織があり、安定性と可動性という相異なる要素を兼ね備えなければならない、さらに骨の内部に走る脊髄神経を保護するという、様々な機能を有する複雑な構造をした骨です。
私が腰椎椎間板ヘルニアの手術を初めて執刀したのは卒後2年目です。指導医の監督下に手術を終えた後、患者さんの症状が劇的に改善したのに感激して以降、卒後25年目の今も、私はこの複雑な背骨を扱う脊椎手術に魅せられています。

整形外科の治療範囲は広い

慈恵医大を卒業後、慶應義塾大学の整形外科教室に入局し、約18年間、大学病院や関連病院で、留学中はアメリカの病院でも勤務しました。

その間に、私は整形外科専門医となり、医学博士となり、膝や肩、手、足など様々な分野の専門医たちと働き、脊椎疾患以外の治療も担当してまいりました。

専門分野の研鑽も惜しまず、脊椎脊髄外科指導医、脊椎内視鏡手技認定医などの資格も持ち、内視鏡手術を含めた脊椎手術は2000例ほど執刀してまいりました。現在でも年間100例程度の内視鏡手術を執刀しております。

脊椎内視鏡手術の進歩は目覚ましく、今では腰椎椎間板ヘルニアは日帰り手術が可能です。しかし、どんなに進歩しようとも、手術はリスクを伴う治療であることは疑いありません。だからこそ、手術が無事終了して患者さんに喜んでもらえると、上手くいってよかった、信頼に応えられてよかったと、私も大喜びしてしまいます。

脊椎内視鏡手術とは

内視鏡は直径8mm、長さ185mm

当院で行う内視鏡手術は、PED、PELDないしはPELと呼ばれる手法ですが、最近では全てひっくるめてFESS(Full endoscopic Spine Surgery)と呼ばれています。全ての手術操作を内視鏡下に行う手法であり、体を大きく傷つけずに脊椎内部の奥深いところを観察し、より安全に手術操作が可能となるのが大きな特徴です。

脊椎内視鏡手術のルーツ、発展

脊椎内視鏡のパイオニア
Dr. Anthony Yeung(左)

少しでも患者さんが安心して手術に挑んでもらうためには、可能な限り患者さんの負担を減らす必要がある。そのためには、内視鏡手術しかない!そう思い立った私は、2009年にアメリカに留学し、数か所の施設を見学しました。そのうちの一つがArizonaにあるDISCというクリニックです。オーナーは、脊椎内視鏡の開発者であるDr. Anthony Yeungです。Dr. Yeungは、PED以外にも、カテーテルによる先進的な疼痛緩和治療の開発、cadaverによる解剖学的研究、学会活動や内視鏡手術の講習など、様々な活動を精力的に行っていました。彼と仕事を共にすることで様々なことを経験し、大きな影響を受けたのでした。

Seoul Wooridul 病院の
Dr. Sang-Ho Lee(右)

ただ、その頃の私には内視鏡手術は“視野が狭すぎて、神経への圧迫を完全に解除できたか確信が持てない”が正直な感想でした。Dr. Yeungにそのことを伝えると、DISCに見学に来た韓国と日本のドクターを紹介するから、彼らの手術も見学するべきだ、と言ってくれました。帰国後に私は、内視鏡手術を活発に行うドクターたちの手術を何度も見学に行きました。

カンファレンス中

韓国では内視鏡手術の経験豊富なドクターが断然多く、手術経験1万件というドクターの手術も見学しました。“私だったら絶対無理”と思う難症例も、内視鏡手術で完遂したのには本当に驚いたものでした。

韓国ではそれらの脊椎内視鏡手術はPEDもしくはPELDと呼ばれていました。全例が腰椎椎間板ヘルニアであり、PED特有のアプローチ法を用いること、基本的に日帰り手術であることなど、私がDISCで見たのと酷似していました。PEDを高く信頼するようになった私は、”ヘルニア手術はPED以外に考えられない”と思うに至ったのです。

タイでの手術トレーニング

日本でも脊椎内視鏡手術を積極的に行うドクター達の手術を見学しました。日本のドクター達には、MEDという、PEDより太い脊椎内視鏡の豊富な治療経験があるという、他国のドクターにはない特徴があったのです。彼らはMEDで培ったテクニック、そして精巧に開発された日本製のPED用手術器具を組み合わせることで、様々な脊椎疾患に対して積極的に内視鏡手術を応用していました。

日帰り内視鏡手術では、点滴や尿管をつけて
一晩過ごすことはありません。

特筆すべきは脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓形成術(PEL)でした。傷も小さく手術成績も良好ですが、何より素晴らしいのは、術後2時間程度で離床が可能となるため、術直後の煩雑な全身管理が不要なのです。治療の質を落とさずに術後の様々な負担を大幅に軽減できるのは、医療従事者にも絶大なメリットとなります。その頃から私は脊椎内視鏡に恋焦がれるようになり、“もっと多くの脊椎疾患に脊椎内視鏡手術が活用できるようになりたい!”と願うようになったのです。

脊椎内視鏡手術で可能な治療

内視鏡手術では、脊椎内部や近傍を走行する神経への圧迫解除が目的の除圧術を行います。内視鏡を使用しない従来法では、神経が圧迫される部分を目視するために①筋肉を背骨から剥がし、②背骨を部分的に切り取って脊椎内部を露出する、いわゆる展開操作が必要でした。内視鏡手術が従来法と大きく異なるポイントは、一気に脊椎内部まで内視鏡を滑り込ませ、脊椎内部をのぞき込むことができるため、展開操作が一切不要なことだと考えられます。

脊椎の解剖

脊柱及び脊柱管の図

脊椎は椎体(体を支える部分)と椎弓(神経を保護する部分)から成り、また脊椎が頭から骨盤まで連結することで、脊柱(体の大黒柱)を構築します。
脳から下行する神経の束(脊髄)は脊柱管(脊椎の真ん中にあるトンネル)を通ります。
椎間板と呼ばれるクッションが脊柱に可動性を与える一方で、椎弓と椎弓の間にある黄色靭帯が椎弓を連結し、脊柱の安定化に寄与しています。

内視鏡下ヘルニア摘出術(PED: percutaneous endoscopic discectomy)とは

椎間板ヘルニアでは、神経に向かって突き出た椎間板が神経を圧迫することにより、腰や臀部に痛みを感じるようになります。PEDでは、脊椎内部に内視鏡を挿入し、神経の間からヘルニアを摘み取って、神経への圧迫を解除します。

内視鏡下椎弓形成術(PEL: percutaneous endoscopic laminoplasty)とは

脊柱管狭窄症では骨の出っ張りや分厚くなった靭帯などが脊柱管を狭め、神経を圧迫することにより、特に起立歩行時に増強する、腰から下肢全体にしびれを伴う激しい痛みを感じます。PELでは、脊柱管に向けて突出する骨の出っ張りや肥厚した靭帯を椎弓から削り取って、脊柱管を拡大します。

突出した靭帯をドリルで剥離
肥厚した靭帯を摘出して脊柱管を拡大

脊椎内視鏡手術の手順

内視鏡脊椎手術は、基本的に以下の要領で行います。

1. 専用の手術台にうつ伏せ寝

1)腹部を圧迫しないように骨盤と胸を支えるパッドがついた専用の台の上に寝てもらいます。

2)外科用X線透視装置を背部に配置します。

2.術直前に注射を3か所

1)硬膜外麻酔:背骨の隙間に針を刺し、内部の脊髄神経を覆う膜【硬膜】の外側の空間【硬膜外腔】に麻酔薬を注入し、術中の痛みを緩和します。

2)椎間板造影:椎間板内に染色液と造影剤を注入し、ヘルニアの局在を明確にします。

3)局所麻酔:内視鏡を挿入する部位に局所麻酔を打ちます。

3.内視鏡を患部に挿入

1)皮膚を1㎝ほど切開し、内視鏡をX線透視下に背骨の間に挿入します。

2)内視鏡用の鉗子を使用し、神経への圧迫を解除します。

3)内視鏡を抜去後に皮膚縫合して終了です。

4.ドレーンを留置

1)内出血を体外に排液するためのチューブ【ドレーン】を留置します。

2)狭窄症手術例でドレーンを留置する ことが多いです。

5. 術後の経過観察

1)術後2時間は安静臥床で様子観察します。

2)異常がないことを確認してから、独歩可能です。

脊椎内視鏡手術が効果的な疾患

基本的には、除圧術が必要な脊椎疾患であれば、頸部でも腰でも、内視鏡手術を行うことが可能です。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は頻度も高く、内視鏡手術が適応しやすい疾患です。

代表症例1:腰椎椎間板ヘルニア

37歳男性 左坐骨神経痛

半年前からの臀部から左下肢外側に放散する痛みあり。

半年前から続く臀部から下肢外側に
放散する痛みで、安眠できない。

術後、痛みは著減。1か月間のリハビリで
痛みはほぼ完全に消失した。

代表症例2:腰部脊柱管狭窄症

61歳 男性

50メートル歩くと出現する左臀部から下肢外側への放散痛で短時間しか歩けない状態

術前MRI
術前MRI
術前CT

術前画像所見
L45高位での左椎間関節内側にある嚢胞形成()および骨棘形成()によって、脊柱管が狭小化している状態

術前X線

椎間関節内側に骨棘あり

術後X線

骨棘を切除し脊柱管を拡大
術後2週で歩行時の臀部痛は完全に消失した

代表症例3:腰椎椎間板ヘルニアの再発例

40歳 女性

右臀部痛
長時間の座位や短時間の歩行で痛み増強。20年前にレーザー治療の既往あり

10年以上前からの悩み
右臀部痛で5分以上は歩けない

術後、痛みは著減。2か月間のリハビリ
痛みはほぼ完全に消失した。

代表症例4:頸椎椎間板ヘルニア

45歳 女性

突然出現した左頸部から左上肢に放散する激しい痛み

C67の椎間板突出あり(

椎間板突出による椎間孔狭窄あり(

術後3DCT

椎弓を部分切除して
椎間孔拡大

術後CT

神経腹側のヘルニアを摘出

術後1週目

術直後より症状著減
1cm程度の手術創)

脊椎内視鏡手術の特徴

脊椎内視鏡手術には様々なメリットがあるものの、手術器具に特徴があり、病態によっては内視鏡手術よりも従来手術をお勧めする場合もあります。

内視鏡手術の長所

約1cmの傷で、体の奥深い部分まで十分な視野が得られること

① 展開操作(背筋を骨からはがして視野を得ること)が不要なため
細い方でも太目の方でも
傷の大きさは一緒
傷は目立ちません
  • 傷が目立たないので、美容上も安心
  • 太り気味でも筋肉質でも,全く変わらない視野が得られます。メタボも安心!
② 浅い麻酔深度で行えるメリット
日帰り内視鏡手術では、点滴や尿管をつけて
一晩過ごすことはありません。

声をかければ応えられる程度の麻酔深度で行うことにより

  • 内視鏡を挿入する際の痛みが少ない
  • 術中の血圧や脈拍の変動、四肢のかすかな自発運動など、手術操作に対する反応を得ることにより、より愛護的な手術が可能
  • 術後1時間以内に自立歩行が可能となるので、術後の酸素マスクや尿管などの処置が不要
③ 治療期間が短縮できる
日帰り手術なら入院費不要

ご本人の健康状態によって、日帰り手術での対応が可能です。手術開始2時間前からお越しいただき術前準備を行います。手術後、2~3時間はベッドで安静にしていただきます。椎間板ヘルニアに対する手術の所要時間は1時間程度ですので、これらをまとめた総所要時間は5~6時間程度となります。

④ 手術所見をビデオで確認
終了後に内容をご説明

内視鏡で行った手術は、原則として全て録画しております。術者が見たものを患者さんも術後に見ることができるので、情報を共有することができます。

内視鏡手術における注意点およびリスク

主な症状は軽減することが期待できます。
しかしながら、手術は完全治癒させるものではありません。たとえば椎間板ヘルニアの場合、ヘルニアを摘出して神経への圧迫を解除しますが、すでに傷ついた神経を完全に直すことはできません。
したがって手術の効果は、①術前からの神経損傷の程度 ②術後の回復力 によって変わります。手術は回復の始まりであり、残存症状に対しては 術後のリハビリテーションや投薬が必要です。一般的に、痛みは改善しやすいのに対し、痺れや知覚異常は改善に時間がかかる傾向にあります。
最終的な治療効果の判定には、術後3か月程の経過観察が必要です。

① 頻回のX線撮影が必要

内視鏡手術では、内視鏡の位置を把握するためのX線モニターと内視鏡モニターの、二つの目の情報で行います。術中はX線照射が繰り返されており、手術の度に被曝する手術スタッフはみな、鉛入りの重いプロテクターを装着しております。

② 繊細な手術器具、手術時間は従来法より多少長い

内視鏡手術で用いる器具は、とても細長く繊細な構造です。ラフに使用すると容易に破損するため、内視鏡手術は体内にも器具にも優しく丁寧に行う必要があります。そのため、従来手術と比較して手術時間は多少長くなります。

③ 多椎に及ぶ長時間手術では、内視鏡でなく従来手術がお勧め

手術中は、内視鏡の先端から生理食塩水を還流させることで、術野の確保と冷却に努めます。還流水圧の上昇から、術後に頭痛や頸部の痛みを感じる場合があります。そのため、3時間以上の手術時間が予想される症例においては、内視鏡でなく従来手術をお勧めしております。

日帰り手術

MRI検査は必須です

当院では脊椎内視鏡による日帰り手術を承ります。
初診日に、
① 医師の問診及び診察、
② MRIによる画像診断
③ 血液検査
④ 心電図検査、心臓エコー検査
⑤ 胸部X線写真、腰椎X線写真
をお受けいただきます。脊椎内視鏡手術が医学的に妥当であり、日帰り手術が安全に行える健康状態だと判断してから、手術日を決定します。

ご注意いただく大事なポイント

自己流のリハビリは危険です
  1. 原則として、初診当日には手術は出来ません。
  2. MRI画像をご持参ください。もしまだ撮影していない場合には、当院提携医療機関でのMRI撮影をご案内しますので、お申し出ください。
  3. 高血圧や不整脈など、循環器系の持病をお持ちの方は、術前に当院循環器外来をお受けいただく場合があります。
  4. 睡眠時無呼吸症候群が疑われる方は、鎮静剤を慎重に投与する必要があります。術前に簡易検査をお勧めする場合があります。
  5. 術後2~4週までは腰に重だるさを感じることがあり、腰に過度な負担を与えるべきではありません。ヘルニア再発や腰痛悪化を防ぐために、術後2か月までは、少なくとも週一回は当院リハビリ科の理学療法士より術後リハビリをお受けいただくよう、お願いいたします。

日帰り手術の適応疾患

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症(1椎間)

脊椎内視鏡手術の良い適応ではあるが、入院治療をお勧めする疾患

  • 頸椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性神経根症
  • 腰部脊柱管狭窄症(2椎間以上)

当院の連携医療機関で脊椎内視鏡手術が可能です。
入院の手続きをご案内します。

手術合併症に関して

脊椎内視鏡手術(FESS)は、患者さんへの負担が少ない優れた手術法ですが、神経というデリケートなものを扱う脊椎手術の一つであり、合併症のリスクがあります。当院では、2017年からFESSを300例以上行っており、発生率はかなり低いとはいえ、FESSだからこそ注意しなければならない合併症もある事を経験してきました。
大事なことは、FESSに特有な合併症の対処方法を常に準備しておくことだと考えます。下記は当院で特に注意しているFESSの合併症とその対処法です

1.ヘルニア再発

手術でヘルニアを全摘出したのに、また同じ部位にヘルニアが出現することがあります。ヘルニアに対する手術法は、FESSの他にも、従来手術であるLove法や顕微鏡下でのmicro-Love法、円筒形レトラクターを使用するMED法などありますが、どの術式でも再発率は同等と考えられています。ちなみに初回術後5年以内のヘルニア再発率は4~15%と報告されています。
再発した場合、必ずしも再手術が必要なわけではありません。しかし、痛みや脱力などの症状が耐えられない場合、FESSを再度お勧めする場合があります。
なお、術後早期のヘルニア再発を予防するためには、コルセットの適切な使用やリハビリテーションなどの入念な後療法が欠かせません。

2.神経合併症

術後、脱力感や感覚障害、しびれなどの神経症状が出現し、症状が一過性に悪化する場合があります。これには①安全にヘルニアを摘出するために神経をけん引して保護する必要がある ②周囲との激しい癒着があり、神経の剥離操作が必要となる などの手術操作が一因の場合があります。
一方で、術中には神経に直接触れる操作は一切ないのに、術後数日してから手術部位とは異なる神経に症状が出ることがあります。このように原因が明確な場合とそうでない場合がありますが、これらの症状の8割以上は、術後4週以内の自然消退が期待できます。痺れや痛みに対して、内服薬の処方やブロック注射を併用する場合もあります。

3.血腫による神経合併症

術後に脊椎内部で血液が多量に貯留してゲル状に固まり【血腫】、神経を圧迫するために下肢痛や脱力、排尿障害などが発生することがあります(0.1~3%)。FESSでも骨切除量が多い場合には、切除面からじわじわ出血して血腫が出来る恐れがあります。
 ほとんどの場合で血腫は自然吸収されるので、徐々に症状も改善していきますが、まれに血腫除去のための再手術が必要な場合があります。
 当院では、術後に血腫発生の恐れがある場合、原則として術翌日までドレーンを創部に留置させていただきます【連携医療機関への一泊入院をご案内します】。

4.硬膜損傷および髄液漏

手術中に神経を覆っている膜【硬膜】に穴が開き、内部を流れる脳脊髄液が漏れることを髄液漏と呼びます。髄液漏が起きると、頭痛や吐き気がでることがあります。脳圧の変化が症状と関連すると言われており、寝ている姿勢から急に起きると頭痛やめまいを感じる場合や、トイレで強くいきむと腰や臀部に痛みがでる、というのもよく聞かれる症状です。
術中に明らかな硬膜損傷を認めた場合は、硬膜の上に特殊な補填剤をのせ、皮膚を密に縫合することで硬膜を修復します。但し、術前から神経が長期間にわたり強く絞扼されていると、硬膜が希薄化して周囲と癒着している為に傷つきやすく、たとえ術中に明らかな損傷を認めなくても、微小な硬膜損傷を生じる恐れがあります。
術中に硬膜損傷が生じた場合や、硬膜損傷が無くても術後の経過から硬膜損傷が疑わしい場合には、手術創が完全に治癒するまで、なるべく安静に過ごされるようお願いすることがあります。

5.手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)

SSIとは、手術した部位が化膿することを意味し、患部に熱感を伴ったり、激しい痛みを生じたりします。
整形外科領域のSSI発生率は0.1~17.3%と報告されており、部位や術式によって大きな幅があります。たとえば関節鏡手術のSSI発生率は0.14~0.48%と低く、①キズが小さい ②患部に術者の手が直接触れない ③灌流液が創部を絶えず満たしている などが理由としてあげられます。
FESSは関節鏡手術とほぼ同じ条件で行われるので、SSI発生率も同程度に低いと考えられます。しかしFESSもれっきとした整形外科手術であり、SSIのリスクを常に考慮しなければなりません。
当院の日帰り手術は原則として①予防的抗菌剤投与;手術開始2時間以内に抗菌剤投与するのがSSI発生率低下に最も効果的 ②術翌日の創チェック:再診時に創周囲の腫れや熱感などの感染徴候の有無を確認 を行います。SSIが疑われる場合には、血液検査や培養検査、抗菌剤投与を行います。
また万が一、創内に膿が貯留している場合には、ドレナージ(ハリや内視鏡で膿を穿刺して体外へ排液する)を要することがあります。

脊椎内視鏡手術(FESS)の費用について

おおよその標準的な手術費用です。
手術中の状況や使用する薬品、材料などによって多少違いが出てくる場合があります。どうぞご了承ください。

手術部位1か所あたりの費用
自己負担の割合 自己負担額
2割負担の場合 約70000円
3割負担の場合 約100000円

患者さんから供与された漫画

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