頭痛外来

はじめに

頭痛外来のイメージ

頭痛で最も大切なことは「頭痛の原因」です。
お話をしっかりと伺うことで原因がはっきりすれば、ほとんどの頭痛は、治療で適切に緩和できます。

頭痛外来のイメージ

頭痛はがまんする必要はなく、多くの頭痛は、症状を詳しく伺い、適切な治療で緩和することができます。痛み止め(鎮痛剤)をがまんしたり、自己判断で様々な薬を試してしまったりすると、さらに辛い思いをすることになります。
頭痛のタイプを見極めて、正確にアプローチすることが治療に最も大事です。

当院の頭痛外来では、経験豊富な脳神経外科専門医が担当いたします。

頭痛診療の流れ

頭痛の治療には、頭痛のタイプを見極めた正確なアプローチがとても重要です。

頭痛診療の流れのイメージ

頭痛には2つのタイプがあります。
1) 一次性頭痛(危険ではない頭痛)
2) 二次性頭痛(危険で命にかかわる頭痛)

一次性頭痛(危険ではない頭痛)の特徴

一次性頭痛(危険ではない頭痛)の特徴のイメージ

① 頭痛全体の約90%を占める
② 4、5歳から30歳台までの発症が大半
③ 再発を繰り返す
④ 慢性的に経過し、確定診断に時間を要する場合も多い

生命に影響するような重大な状態ではありませんが、薬やリハビリで時間をかけて治療する必要があります。

二次性頭痛(命にかかわる頭痛)の特徴

二次性頭痛(命にかかわる頭痛)の特徴

① 頻度は頭痛全体の10%以下。
② 若年層から高齢者まで広い年齢層に発症。
③ 頭痛の他に神経症状(嘔吐、麻痺、言葉がしゃべりにくい、意識障害、てんかんなど)を伴うことが多い。
④ 突然に起こり、自然に症状が緩和することがないのが最も大事な特徴。
⑤ 脳卒中や脳腫瘍に伴う頭痛は、高度医療機関での精密検査(頭部MRI)や速やかな治療が必要となる事があります。

二次性頭痛に対しては連携医療機関での治療をご案内しております。
頭痛外来では一次性頭痛に対する治療を主に行っております。

一次性頭痛の中でも最も代表的な3つの頭痛

① 緊張性頭痛

緊張性頭痛のイメージ
  • 頭の両側や全体~肩、首が締め付けられているような痛み。
  • 最も頻度が高いタイプの頭痛です。
  • 首や肩、頭の周りの筋肉が緊張して、持続的に頭を締め付けるために起きると考えられます。

姿勢に伴う筋緊張
姿勢に伴う筋緊張のイメージ

長時間のデスク仕事や前かがみでのスマートフォン操作などによる頭から首、肩までの筋肉の疲労蓄積が筋緊張を増す場合が最も多いです。

精神的ストレス
精神的ストレスのイメージ

歯ぎしりや咬合障害、睡眠不足などの日常生活上の様々なストレスに伴う精神的な過緊張も原因となることがあります。

治療
  • 緊張の緩和が大原則
    緊張の緩和が大原則のイメージ

    ・首から背中の筋肉(僧帽筋が代表的)をほぐすことは症状緩和に効果的です。

  • 理学療法(頭痛リハビリ)
    理学療法(頭痛リハビリ)のイメージ

    ・座った姿勢で長時間働く場合、座位姿勢はとても大事です。当院が行う頭痛リハビリでは、理学療法士が立ち姿や歩容のバランスチェック、座位姿勢などを指導します。

    ・デスク仕事が長いオフィスワーカーの場合には、座位姿勢での骨盤の傾きを整え、体幹筋や関節を刺激して、固まった胸郭を動かしやすくすることで姿勢を整えます。

  • 薬物療法

    鎮痛剤は様々ありますが、どれも一定の効果があります

    筋弛緩薬や湿布などを鎮痛剤と一緒に使用すると、より効果的です。

    ・大事なポイントは、薬物乱用頭痛です。薬に依存しすぎて多量の薬を長期的に服用することで頭痛が悪化する事を意味します。
    そのため、薬を用いても改善しない場合は、医師へのご相談をお勧めします。

  • 運動療法
    運動療法のイメージ

    ・ストレッチやジョギングなどの運動習慣は筋緊張軽減だけでなく、精神的なリラクゼーションにもなるので、疼痛の緩和にとても大事です。

注意すべきポイント
注意すべきポイントのイメージ
  • 緊張性頭痛だと思っていたら、実は片頭痛だったということは良くあります。
  • 例えば緊張性頭痛の場合、入浴や運動で体を温めると緊張がほぐれて頭痛が楽になる事が多いですが、痛みが増す場合は片頭痛の可能性があります。
  • 緊張性頭痛であっても片頭痛の治療を併用する場合もありますので、お悩みの際にはぜひ医師にご相談下さい。

② 片頭痛

片頭痛のイメージ
  • 突然始まり、30分から一時間位で痛みがピークになる頭痛。
  • 前兆があり、“閃輝暗点”と呼ばれるキラキラした光がみえて、一部視野が欠けるのが特徴です。
  • 痛みは、片側または両側におこります。
  • 強い頭痛の他にも、吐き気、嘔吐、眠気、光・音・匂い・温度に敏感になる、などの症状を伴うことがあります。
  • 頻度は人により様々です。数か月に一回の方もいれば一か月に数回以上も起こる方もいます。

頭痛以外にもよく聞かれる症状
疲労感
疲労感
複視
複視
悪心・嘔吐
悪心・嘔吐
光や気温に過敏
光や気温に過敏
眠気
眠気
原因
血管収縮【閃輝暗点】 血管拡張【片頭痛】
  • 脳内の血管が急激な収縮のあと、拡張することが片頭痛の原因と考えられています。
  • 血管が収縮すると、閃輝暗点などの前兆が出てきます。
  • 徐々に血管が元の太さに戻ろうと拡張すると周囲神経を刺激して片頭痛がでると考えられています。

頭痛の原因のイメージ
  • 近年の研究結果によると、片頭痛は、大脳皮質の神経細胞の異常興奮が発現に関与すると考えられています。
  • 硬膜や(脳を守っている硬い膜)や脳血管を支配する三叉神経(触った、痛いなどの知覚神経の一つ)の活性化に、この異常興奮や視床下部も関連しているとも言われています。

治療
  • 薬物療法はとても大事

    ・近年、片頭痛の薬は著しく進歩しています。

    薬の役割と内服のタイミングを理解することがとても大事です。

  • 治療薬

    ・脳血管の拡張を抑制する作用があります。

    トリプタン製剤が代表的な薬剤です。

    ・大事なポイントは内服のタイミングです。

    頭痛が軽いうちに飲むか、頭痛発作の発生初期に内服するのが効果的です。

    ・トリプタン製剤にも様々な種類があり、人によって効果は異なります。

    ・最も効果的なものを見出すために、何種類か試してもらう場合もあります。

    ・軽傷の場合には、まずは一般的な鎮痛剤から内服するのをお勧めします。

  • 予防薬

    ・脳血管の収縮を抑制する作用があります。

    ・予防薬をお勧めする場合は、
    1) あまりに頭痛の発生頻度が多い。
    2) 頭痛の程度が強すぎて日常生活が満足に送れない
    3) 治療薬の使用頻度を減らしたい
    などがあります。

    ・大事なポイントは、毎日内服する必要がある事です。

    ・2021年からは、月一度の注射だけで済む発作予防の新薬が利用可能です。
    (エムガルティ、アジョビ、アイモビーク)
    痛みの頻度を減らすだけでなく、痛み自体も減弱させる効果があります

注意すべきポイント
注意すべきポイントのイメージ①
  • 片頭痛の発作発生には、何らかの誘因が必ずあると言われています。本人のライフスタイルにその誘因が隠されていて、それを見つけ出すことは治療における大事なプロセスです。誘因として頻度が高いのは、アルコールやカフェインなどの嗜好品、食生活や睡眠時間の乱れ、ストレスからの解放などです。

注意すべきポイントのイメージ②
  • 生活習慣は自分が無意識に行っていることが多く、薬の内服のタイミングを考えているうちに、もしかしてあの習慣が引き金なのかと気付くことも多々あります。医師と相談して、焦らずにじっくり時間をかけて改善していくのが結果的に最も有効と思われます。

③ 群発頭痛

群発頭痛のイメージ
  • 片側の眼窩部を中心とした激しい痛み。
  • “目の奥をえぐられるような痛み。”
  • 20~40歳代の男性に好発。
  • 頭痛発作は一日一回で、2~3時間以内に消失。
  • 群発地震のように続いた後、2か月以内に発作がピタッと止まり、1年以上たってから頭痛発作が再発することもある。
  • 自律神経症状(眼瞼下垂、瞼の周りの腫れ、鼻づまり、結膜充血、嗄声など)がみられることもある。

原因
原因のイメージ
  • 原因はいまだ不明です。
  • 脳幹部にある視床下部が刺激されると三叉神経の第一枝(目の周りや顔に分布する神経)や副交感神経(涙腺や鼻粘膜に分布する神経)が影響を受けることから、群発頭痛には視床下部が強く関連すると考えられています。

治療
  • 通常、一般的な鎮痛剤は効果が乏しいことが多いです。
  • 純酸素の吸入は即効性があり、高い有効性があります。
  • トリプタン系薬剤を中心とした薬物療法が有効です。
  • 内服薬の他に、自己注射薬や点鼻薬もあります。
    使用方法をマスターする必要がありますが、慣れればとても便利なもので、高い効果が期待できます。
注意すべきポイント
注意すべきポイントのイメージ①
  • 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)という疾患群があります。
  • TACsは様々な疾患に細分化されていて、群発頭痛はそのうちの一つです。
  • 三叉神経が支配する領域(顔面の片側)の激痛、および自律神経症状(鼻閉、鼻汁、結膜充血、眼瞼周囲の発赤など)が特徴です。
  • TACsの典型的な疼痛発現メカニズムは、動脈硬化によって蛇行や拡張した血管が神経を圧迫することで発生すると考えられます。そのため、群発頭痛やTACsでは、神経への圧迫所見の有無を精緻なMRI検査によって評価することがとても大事です。

注意すべきポイントのイメージ②
  • 圧迫所見を認める場合には、まずは薬物療法を行います。効果が乏しい場合は外科的に神経の圧迫を解除する手術を行うこともあります。

そのほかの、一次性頭痛でよく見られる頭痛

副鼻腔のトラブル
副鼻腔のトラブル
高血圧性頭痛
高血圧性頭痛
歯ぎしり、顎関節障害
歯ぎしり、顎関節障害

それ以外にも、目の病気(緑内障)、首の病気(頚椎症)などによって激しい頭痛を起こす場合があります。頭痛の治療には、複数の領域にまたがった専門的な知識と診療、そして頭部MRIなどの精密検査がとても大事と考えられます。

担当医師

チームメディカルクリニック新宿

院長  田村 徳子 医師

  • Top